竿作り・修理の方法【スパインの出し方】
ブランクには製造工程上『スパイン』と呼ばれる背骨のような硬い部分が存在します。
このスパインとガイドの取り付け位置が完成したロッドの特性を大きく左右するんです!!
■スパインとは
ブランクの背骨・・・・・スパイン
ブランクには、スパイン(Spine)と呼ばれる硬い部分があります。この硬い部分を「背」と言い、反対に柔らかい部分を「腹」と言ったりします。
これはパターンが重なり合っているために生じるもので、他の箇所より肉厚なため、ブランクで最も反発力の強い部分となります。
このスパインの位置によってロッドの振れる方向、あるいはロッドパワーを充分生かせるかどうかが決まります。
またスパインの数ですが、1 ヶ所の場合と2
ヶ所の場合があります。
1 ヶ所の場合、背(スパイン)の反対側が腹となります。
2 ヶ所の場合はほとんどの場合、背は180
度反対にもう一つあります。
つまり腹はその両側の90 度横にあることになります。
今現在出回っているブランクは2
ヶ所スパインがあるものがほとんどで、1
ヶ所しかないブランクは非常に稀です。
力を加え過ぎてブランクを折らないようご注意しましょう
スパインとガイドの関係
一般的には、ベイトキャスティングロッドの場合はスパイン側に、スピニングロッドの場合はスパインの反対側に、それぞれガイドを取り付けるといわれます。
これはスパインが1つの場合の例として言われますが、投げるときはブランクがブレずにまっすぐ投げることができ、魚を釣り上げるときはロッドのパワーを最大限に生かせるといった考え方です。
ただし実はベイトロッドの場合この法則は当てはまりません。
なぜなら、ベイトロッドはキャストする際にブランクを90度横に傾けるのが一般的だからです。
つまり、仮にスパインが1つの場合スパイン側にガイドをセットしたときに、キャストするときにはスパインは90度横になりブランクはぶれてしまいまっすぐに投げることができなくなります。逆にまっすぐ投げれるように、90度横につけると、魚を釣り上げるときはスパインが横にある為、ブランクがねじれようとする力が加わります。
ベイトロッドと違い、スピニングロッドの場合は投げる時も魚をかけた時もガイドのライン上を基準に竿が曲がる為、バランスのとれたセッティングが可能となります。
ただ、先にも説明しましたが、実際のブランクのほとんどは2
つのスパインを持っています。
2 つの場合はどうなるか説明します。
二つある場合のほとんどは、スパインがほぼ180
度反対にあることになります。
その為、スピニングロッドの場合、キャスト時も釣り上げる時も反発の強いスパイン上を使うか、または反発の弱い腹側を使うかになります。
つまりキャストするとき正確に投げれるようにして、釣り上げるときはパワーを活かす…といったセッティングはできなくなります。
ベイトの場合は、キャスト時に90
度ひねることになります。
つまりスパイン上にガイドを取り付けた場合、キャストするときは90
度横の腹側を使い正確性を高め、釣り上げるときはスパインを使用できる為パワーを活かせるようなセッティングができるようになります。
逆に腹側に取りつければ、キャストで飛距離を出せるようにして、釣り上げるときはねじれの無い腹側を使用することでブランク本来の柔軟性を活かすことができます。
フライロッドの場合、その基本は腹側に取りつけることになります。
これは正確性を重要視する釣りだからです。
特に渓流用のフライロッドではピンポイントで狙ったところに打ち込む
必要がありますので非常に重要なファクターとなります。
ただ、逆に正確性よりも飛距離を重視したい湖や海などで使用する番手の大きなフライロッドの場合、スパイン上に取りつけることで飛距離を出すことができると考えられます。
この辺りは使い手の好みによりますのでどれが正解ということはありません。
まず、キャストの正確性を求めるのか、飛距離を求めるのか?釣り上げるときのリフティングパワーを求めるのか、柔軟性を求めるのか?自分がこの中で何を重要視するのか優先順位を考えたうえでスパインのセッティングをします。
またグラスソリッドの船竿の場合は、一般的には腹側にガイドをつける場合が多いようです。
これは柔らかい部分を使用することで、船の揺れを吸収し、食い込みを少しでも良くする為と考えられます。
また、柔らかい素材の為「ねじれ」がおきやすくなります。
船竿のほとんどが、上向きのガイドの為、スパイン上に取りつけるとねじれようとする力が大きく加わり、場合によってはベリーからティップにかけてガイドが横向きになってしまう場合もあります。
▼ジャストエース様ご提供
「ロッドカスタム講座 スパインの出し方編」
▼補足編
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